犬や猫の目の健康チェック|目の病気は早期発見がカギ!

犬や猫の目の健康チェックについて


犬や猫は、目が見えにくくなってもその症状を言葉で伝えることができません。そのため、飼い主様が日常的に目の健康をチェックしてあげることが大切です。例えば、目の充血が見られる、涙の量が多い、目をしょぼしょぼさせている、光に対して過敏になっているなどの症状が見られた場合、それは視力の低下や目の病気の兆候かもしれません。また、目の異常は全身性の病気の兆候であることもあります。

動物の病気は、飼い主様が気づいたときにはすでにかなり進行してしまっていることも多いため、日常的に健康チェックをしてあげることが重要です。

今回は、犬や猫の目の健康チェックについて詳しく解説します。



■目次
1.犬や猫の目の構造とそれぞれの役割
2.健康な犬や猫の目の特徴
3.目の健康チェックの頻度
4.目の健康チェックの方法と異常が疑われる症状
5.健康チェック中の注意点
6.まとめ

犬や猫の目の構造とそれぞれの役割

犬や猫の目の構造は人間の目とほとんど同じで、下の図の左側から入った光は、角膜→水晶体→硝子体を通り、網膜に集められます。

これをカメラに例えると、角膜はレンズの外側にある透明なガラスに相当し、強膜はカメラのボディです。水晶体はレンズの役割を果たし、毛様体が水晶体の厚みを調節してピントを合わせます網膜はフィルムの役割をして、受け取った光を情報に変え、それを視神経を通じて脳に送ります。

また、虹彩は目に入る光の量を調節するもので、明るい場所では瞳孔を小さくして光が入りすぎないようにし、暗い場所では多くの光を取り入れるために瞳孔を広げます。


目はほとんどが頭蓋骨の眼窩という窪みに収まっていて、角膜のある前方だけが外に出ています。この前方を守るのがまぶた(眼瞼)で、犬や猫には上まぶた、下まぶた、そして瞬膜と呼ばれる第三眼瞼の3つがあります。
まぶたにはマイボーム腺や涙点があり、ここから目の表面を保護する脂質や涙が分泌されます。まつ毛は目にゴミなどが入らないよう保護する役割を果たしています。


犬や猫の視力は人間でいう0.1〜0.3程度で、赤や緑をはっきり認識できないため、色彩のないボヤッとした世界を見ています。
止まっているものを見るのは少し苦手ですが、動いているものには敏感です。また、暗い場所では人間よりもよく見えるので、夜間の活動も得意です。


健康な犬や猫の目の特徴

・表面(角膜)が透明で濁りがなく、透き通っている
・瞳孔の大きさが左右で同じ
・表面が適度に潤っているが、涙はこぼれていない
・目やにがない
・まぶたの縁などにできものがない
・目をしっかり開けている
・白目の部分が白い


目の健康チェックの頻度

基本的には毎日のスキンシップのなかで、目の状態には常に気をかけていただき、もし異常が疑われた場合は、すぐに動物病院で眼科検査を受けることをお勧めします。
また、ご自宅での健康チェックだけでは気づけない病気もありますので、定期的に動物病院で眼科検査をして、目の健康状態を確認しましょう。

眼科検査の頻度については、基本的には年に1回が目安です。しかし、目の病気が多い以下の犬種・猫種、中高齢以降では半年に1回をお勧めします。


<目の病気の多い犬種>

パグ、シーズー、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリア、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど短頭種:目が出ているため刺激への反応が鈍く、角膜潰瘍やドライアイなどになりやすいです。

柴犬:緑内障、白内障が多く見られます。

ミニチュア・ダックスフント:進行性網膜萎縮が多いです。

トイ・プードル:進行性網膜萎縮が多いです。


<目の病気の多い猫種>

短頭種:目が出ているため刺激への反応が鈍く、角膜潰瘍やドライアイなどになりやすいです。

シャム:緑内障、白内障が多く見られます。

ペルシャ:白内障が多いです。


目の健康チェックの方法と異常が疑われる症状

<目やにや涙の有無>

健康な犬や猫でも目やには出ますが、通常は寝起きに少しついている程度です。
涙は目の表面を潤すために涙管から分泌されますが、通常は目からこぼれるほどの量は出ません。

しかし、常に目やにが出ている、目やにの量が多い、涙が頻繁に出る場合は注意が必要です。結膜炎など目の炎症、感染症、角膜潰瘍、まつ毛の異常などが疑われます。

目やにが増える理由はこちらで解説しています


<充血していないか>

健康な犬や猫の目は充血がなく黒目は透き通っていて、白目はきれいな白色をしています。
しかし、白目が赤くなったり、黒目の表面が濁ったりする場合は注意が必要です。これらの症状は充血していることを示し、結膜炎やぶどう膜炎などの炎症やアレルギー、角膜潰瘍などが疑われます。

また、目の病気ではありませんが、白目が黄色くなっている場合は肝臓に異常があるサインかもしれません。

結膜炎についてはこちらで解説しています
目の充血についてはこちらで解説しています


<角膜に潤いがあり、透き通っているか>

健康な犬や猫の目では、角膜は透き通っていて、適度に潤っています。チェックする際は、黒目の表面に傷がないか、赤くなっていないか、白っぽくなっていないか、表面が潤っているかを確認しましょう。

もし角膜の表面が白っぽくなっている、表面が凸凹している、または潤いがない場合は、角膜潰瘍や角膜ジストロフィーなど角膜の病気の可能性があります。

角膜潰瘍についてはこちらで解説しています
角膜ジストロフィーについてはこちらで解説しています


<瞳孔の色や大きさ>

瞳孔の色や大きさも重要なチェックポイントです。
まず、瞳孔の色が白や赤ではないか、左右の瞳孔が同じ大きさかを確認しましょう。瞳孔が白く濁って見える場合は、白内障が疑われます。

白内障についてはこちらで解説しています

さらに、瞳孔は明るい場所では小さくなり、暗い場所では大きくなります。また、片方の目に光を当てると、両目の瞳孔が同時に小さくなるはずです。明るい場所でも瞳孔が開いたままや、左右の瞳孔の大きさが異なる場合は、目や目の神経に問題があるかもしれません。


<目の動き・まばたきに異常がないか>

左右の目の動きに違和感がないか、まばたきの回数が増えたり減ったりしていないか、まばたきをする際のまぶたの動きに異常がないかを観察してください。
例えば、まぶたがうまく閉じられない、まばたきの回数が多い、しょぼしょぼしているなどの症状が見られる場合は、目に痛みがあるサインかもしれません。


<まぶたやまつ毛に異常がないか>

まぶたにイボや腫れがないか、第三眼瞼(瞬膜)が飛び出て赤く腫れていないか、まつ毛が外側を向いて生えているかを確認してください。

まぶたをめくった際に、その部分が腫れている場合は結膜炎が疑われます。
また、まつ毛や目の周りの毛が目に刺さっている場合は、逆さまつげや眼瞼内反症の可能性があります。

眼瞼内反症についてはこちらで解説しています
まぶたにできものができる病気はこちらで解説しています


健康チェック中の注意点

<愛犬や愛猫にストレスを与えない>

自宅での目の健康チェックは、愛犬や愛猫がリラックスしている状態で行ってください。飼い主様が緊張したり、愛犬や愛猫が嫌がっているのに無理やり目を見たり触ったりすると、ストレスを与えてしまい、健康チェック自体を嫌いになってしまいます。
また、ストレスにより充血してしまったり、イライラして目や顔の周りを掻いて怪我をしてしまったりすると、本来の状態を確認することができません。

一度にすべてをチェックしようとせず、短時間で少しずつ目とその周辺を見てあげとよいでしょう。


<目に触る前に手を洗う>

愛犬や愛猫の目やまぶたに触る前には、必ず手を洗って清潔にしましょう。手についた細菌やウイルスが目やまぶたに感染すると、炎症を引き起こす可能性があります。


<異常が見られたら早めに診察を受ける>

自宅での健康チェックで異常が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受けてください。目薬の種類によって効果や使用法が異なるため、ご自宅にある飼い主様の目薬や、以前処方された余っている目薬を自己判断で使用するのは控え、必ず獣医師にご相談ください。


まとめ

目の病気は、すぐに命に関わることは少ないかもしれませんが、早期に治療をしないと悪化してしまい、あっという間に失明してしまうことがあります。
また、ゆっくりと進行する病気の中には、飼い主様が気づかないうちに失明直前まで悪化してしまうものや、治療が難しく進行を遅らせることが治療の目的になるものもあります。

目の健康は生活に影響を及ぼしますので、早期発見・治療のためにも自宅で定期的に健康チェックをして、何か異常があれば早めに動物病院での診察を受けることをお勧めします。


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