犬と猫の角膜潰瘍について|角膜に傷がついてしまう病気

犬と猫の角膜潰瘍


角膜潰瘍とは、目の最前部にある透明な組織である角膜に傷がついてしまう病気です。治療を行わずに放置してしまうと、角膜に穴が開いたり、失明したりしてしまうこともあるため、早期の段階で治療を行うことが大切です。

今回は、犬や猫の角膜潰瘍がどのような病気なのか、その原因や症状、治療方法などをご紹介していきます。


原因

原因は多岐にわたりますが、主に以下のようなものが挙げられます。

・目をこすることによる外傷
・異物が目に入る
・まつげの生え方やまぶたの異常によるまつ毛の刺激
・細菌やウイルスなどの感染
・ドライアイ(乾性角結膜炎)
・薬品(シャンプーなど)

このうち、最もよくみられる原因としては、犬が外傷、猫がウイルス性(猫ヘルペスウイルス)です。
また、どの品種にも起こりうる病気ですが、特に犬ではチワワやパグ、フレンチブルドッグ、シーズー、猫ではヒマラヤンやペルシャなど、目が大きな品種や短頭種に多く発生します。

症状

症状としては、痛みにより涙が増える、目をこする、目をショボショボさせている、黄色い目ヤニが出る、白目が充血する、などがみられます。

また、進行すると本来透明であるはずの角膜が白く濁り、潰瘍が深くなると、角膜に穴が開いて(角膜穿孔)、目の中の組織や水分が出てきてしまうことがあります

診断方法

角膜潰瘍の診断は、飼い主様から犬や猫の様子を聞く問診や、基本的な身体検査を行った後に、目の状態を下記の特殊な機械や染色法を用いて検査することで行います。

まずは、フルオレセイン染色を用いて、角膜の傷を確認します。この検査は、特殊な色素を染み込ませた紙を眼球に触れさせるというもので、角膜に傷がある場合はその部分が緑色に染まります。
その後、スリットランプ検査で角膜の断層を観察し、傷の深さを確認します。

また、状況に応じてシルマーティアテストや眼圧検査、眼底検査、細胞診、超音波検査なども行います。

治療方法

軽度(傷が角膜実質と呼ばれる層の浅層までで留まっている場合)であれば抗菌薬や抗炎症薬などの点眼薬を使った内科治療が基本になります。

内科治療では、主に、角膜の傷害を抑制し、回復を促す作用のある点眼薬と抗菌作用のある点眼薬を使用します。
また、犬や猫が自身で目を擦ってしまうことを予防するために、エリザベスカラーを使います。角膜の保護のためにコンタクトレンズを装着することもあります。

エリザベスカラーを使用する際は、食事の際など生活に不便があるからといって、柔らかい材質のものは避けましょう。
そのため、エリザベスカラーは必ず適切な長さかつ、固い材質のものを選ぶようにしましょう。もし食事の際に邪魔なようであれば、飼い主様の監督下で一時的に外す分には問題ありません。

また、重度の角膜潰瘍(傷が角膜実質と呼ばれる層の深層まで達している場合)では点眼のみで対処することは難しく、外科手術が必要になるケースもあります。

手術では、結膜フラップ術と呼ばれる術式の処置を行います。

予防法


角膜潰瘍は予防が難しいため、いち早く異常に気がつけるよう、コミュニケーションの一環として、日頃から愛犬・愛猫の目をチェックする習慣をつけておきましょう

また、ドライアイなどの角膜潰瘍を起こしやすい基礎疾患のある子は、人工涙液の点眼などで日頃から発症の予防に努めましょう

加えて、散歩のときに草むらや藪に顔を突っ込んだり、耳や顔を掻いたりしているときに目を傷つけてしまう場合もありますので注意が必要です。

まとめ


角膜潰瘍は急速に悪化することもあり、治療が遅れてしまうと角膜穿孔や失明を起こしてしまうことがあります
そのため、いつもより涙が多く出ていたり、ショボショボしていたり、物にぶつかることが多いと感じたら、すぐに適切な眼科診療を受けることをおすすめいたします。

当院では比較眼科学会に所属する院長を中心に、眼科診療に力を入れております。
眼科診療専門の器具を揃えた上で、専門的な技術を有するスタッフによる手術にも対応しておりますので、何か異変を感じたらすぐにご相談ください。

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