2024/05/03
犬の目の周りが腫れる病気について
犬の目の周りが腫れていたら、すぐに目やまぶたの問題と考えがちですが、目やまぶた以外にも鼻や歯のトラブル、アレルギー反応など、さまざまな原因が考えられます。
原因によって適切な治療は異なるため、一見しただけで目の病気と決めつけず、総合的な診断を受けることが大切です。
今回は、犬の目の周りが腫れる理由や、病気の可能性、目の周りが腫れたときの対応などご紹介します。
■目次
1.目の周りが腫れる理由
2.目の周りが腫れる原因として考えられる病気
3.愛犬の目の周りが腫れたらどうしたらいい?
4.まとめ
目の周りが腫れる理由
目の周りのどこが、どの程度腫れているかによって原因は異なりますが、腫れの原因には、炎症、腫瘍や腫瘤、膿瘍などがあります。
炎症は、感染や免疫(アレルギーなど)、外傷により起こり、まぶた全体が腫れることもあれば、マイボーム腺炎のように局所的に発生することもあります。
腫瘍や腫瘤、膿瘍関しては、目やまぶただけでなく、鼻や目の奥、歯の根元に発生して目の周りに腫れを引き起こすこともあります。
まれに、ワクチン接種後など急性的なアレルギー反応(アナフィラキシー)により、まぶたを含めて顔全体が膨らむケースもあります。
目の周りが腫れる原因として考えられる病気
<まぶたの皮膚の炎症(眼瞼炎)>
まぶたやその周りの皮膚に炎症を起こし、毛が抜けて、赤く腫れます。
前足などで目を掻いた際に傷がつき、そこに感染が起きることで起こることがあります。また、他の目の病気に波及してのものや、先天的(生まれつき)の免疫異常が原因になることもあります。
特にアレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の犬によく見られます。
<結膜炎>
白目の部分とまぶたの内側を結膜と呼びますが、結膜に炎症が起こるとまぶた全体が腫れます。
重度の場合は、まぶたが外側にめくれ上がることもあります。
<マイボーム腺炎・マイボーム腺腫>
マイボーム腺炎とは、まぶたの縁にあるマイボーム腺という脂質を分泌する腺組織が炎症を起こす状態を指します。この炎症により、まぶたの一部が腫れたり、イボのような腫瘤ができたりします。
マイボーム腺腫は、マイボーム腺そのものから発生する良性の腫瘍です。マイボーム腺腫は見た目が目立つこともありますが、通常は痛みを伴いません。
<目や鼻の奥の腫瘍や腫瘤・膿瘍>
目の奥に発生する腫瘍や腫瘤、膿瘍は、眼球を前方に押し出すことで、まぶたが腫れて見えることがあります。この状態を眼窩後方腫瘍と呼びます。
眼窩膿瘍は目の奥に膿が溜まる病状で、鼻の腫瘍や鼻の炎症、また歯周病によって引き起こされます。
<歯周病・根尖膿瘍>
歯周病は歯を支える歯肉や骨に炎症が起こる病気です。炎症が歯の根元まで達し、先端部分に膿が集まる状態を根尖膿瘍と呼び、顔が腫れることがあります。
上の奥歯の根元は目の下あたりにあるため、上の奥歯に根尖膿瘍が発生すると目の下に腫れを引き起こすことがあります。
<アレルギー>
アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎の犬では、特に目の周りの腫れや脱毛が見られます。
アレルギーはホコリや花粉、タバコの煙、食べ物など、アレルギーの原因物質を食べたり触れたりすることで発症します。
愛犬の目の周りが腫れたらどうしたらいい?
目の周りが腫れる原因は多岐にわたり、まぶたの皮膚の炎症だけでなく、目や鼻の奥の病状、さらには歯の問題に至るまでさまざまです。
中には痛みや不快感を伴うものもあるため、適切な対応をするためにも異常に気づいたらなるべく早めにご来院ください。
特に目の周りだけでなく顔全体の腫れが見られる場合、アナフィラキシーショックの可能性があります。これはアレルギー反応の一種で、呼吸器の粘膜が腫れて呼吸困難を引き起こす非常に危険な状態です。
また、軽いまぶたの腫れであっても放置しておくと、痒みや不快感で犬が患部を掻き壊し、さらに出血や感染を引き起こすことがあります。
まとめ
目の周りの腫れは、単にまぶたの炎症だけではなく、より深刻な健康問題の兆候である場合があります。
適切な対応をするためにも、自己判断はせずになるべくお早めに獣医師の診察を受けましょう。
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