2025/08/14
猫の好酸球性角膜炎|猫特有の目の病気について獣医師が解説
猫の好酸球性角膜炎という病気をご存知でしょうか。
「猫の目に白い膜のようなものがある。」
「猫の目に何かモコモコしたできものがある。」
「猫の目の白いできものに向かって血管が伸びている。」
このような時は好酸球性角膜炎かもしれません。
愛猫の目が白くなっていたらとても心配ですよね。
今回は猫の好酸球性角膜炎について解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、好酸球性角膜炎とはどんな病気なのか、治療方法はどんなものがあるのかなどの疑問を解消していただければ幸いです。
猫の好酸球性角膜炎とは
猫の好酸球性角膜炎は、黒目と白目の境界部分である角膜輪部に白斑がみられたりそれに向かって血管が伸びたりする目の病気です。
好酸球という白血球の一種が過剰に集まって炎症をおこすことで発症します。
原因は不明ですが、猫ヘルペスウイルスが関与しているのではないかといわれています。
猫ヘルペスウイルスは猫に結膜炎や鼻炎をおこすウイルスです。
猫が他の猫の鼻汁や目やになどを、口や鼻から取り込むことで感染します。
好酸球性角膜炎になりやすい猫種は報告されていませんが、猫ヘルペスウイルスとの関連を考えると多頭飼育の猫や野良猫歴のある猫で発症率が高い可能性はあります。
猫の好酸球性角膜炎の診断
猫の好酸球性角膜炎は黒目と白目の境界部分から発生する白斑やそれに向かって血管が伸びることが特徴です。
この白斑部分をサイトブラシというブラシで拭って細胞を採取し、採れた細胞を観察することで好酸球性角膜炎を診断します。
好酸球性角膜炎では好中球と好酸球という炎症細胞がたくさん観察されます。また、好酸球性角膜炎では
- 結膜の浮腫
- 瞬膜の腫れ
- ドロっとした目ヤニ
などの症状も同時にあらわれることが多いため、そのような症状と細胞の検査を併せて診断することが多いです。
猫の好酸球性角膜炎の治療
猫の好酸球性角膜炎は点眼薬や内服薬で治療します。
炎症を抑えるステロイドの点眼薬や内服薬が効果的です。
ただし好酸球性角膜炎は猫ヘルペスウイルスが原因である可能性があるため、ステロイドの使用には注意が必要です。
ステロイドは免疫反応を抑える薬です。
感染が激しい時にステロイドを使ってしまうと感染症を増悪させる危険性があります。
ステロイドの他に抗生物質や抗ウイルス薬を併用することもあります。
これらの薬は好酸球性角膜炎と併発する結膜炎や、好酸球性角膜炎の原因として考えられる猫ヘルペスウイルスに対してアプローチするものです。
猫の好酸球性角膜炎の予防
猫の好酸球性角膜炎の発症を予防する方法はありません。
猫の好酸球性角膜炎と関連していると考えられている猫ヘルペスウイルスへの感染予防をすることが間接的に好酸球性角膜炎の予防になると考えられます。
猫ヘルペスウイルスでは
- ワクチン接種を受けること
- 他の猫との接触を避けること
- 完全室内飼いをすること
などが予防法として挙げられます。
猫ヘルペスウイルスは猫の3種混合ワクチンで予防することができます。
予防と言っても感染を予防するわけではなく、重症化を予防するという効果があります。
猫ヘルペスウイルスに感染しても重症化を防ぐことができれば好酸球性角膜炎のような過剰な炎症反応を抑えることができる可能性があるということです。
猫ヘルペスウイルスは一度感染すると生涯体内に残り、潜伏感染という状態になります。
猫ヘルペスウイルスに感染したことのある猫が体調を崩して免疫力が下がった時などにこのウイルスが活性化して風邪症状をおこし、他の猫に感染することが多いです。
そのため野良猫などの猫ヘルペスウイルスに感染している可能性の高い猫との接触を避けることが予防になります。
猫の完全室内飼いは最も効果的な感染予防といえるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
猫が好酸球性角膜炎を発症すると、目が白濁したり白い膜が張った様な見た目になります。
放置すると炎症が悪化して猫の目に様々な合併症をおこす可能性もあります。
猫の好酸球性角膜炎のような症状に気がついたらなるべく早く動物病院を受診しましょう。
当院は眼科診療に力を入れています。
猫の目のことでお悩みがあればぜひ当院にご相談ください。
奈良県生駒市の動物病院
Rootsどうぶつ病院