犬の虹彩萎縮について|高齢犬に多い目の疾患について獣医師が解説

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犬の虹彩萎縮について|高齢犬に多い目の疾患について獣医師が解説

茶色いロングコートチワワ

犬の虹彩萎縮という疾患をご存知でしょうか。
犬の虹彩萎縮とはシニア期の小型犬に多くみられる目の疾患です。
「シニアになった愛犬の目の色が変わってきた。」
「犬の目の瞳孔がずっと開きっぱなしな気がする。」
「最近犬がとても眩しそうな仕草をする。」
シニア犬と暮らしてる飼い主様の中にはこのような心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
愛犬の目にこのような変化がみられたら虹彩萎縮を発症しているかもしれません。

今回は犬の虹彩萎縮について詳しく解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の目の異変への対処方法を学んでいただければ幸いです。

犬の虹彩萎縮とは

犬の虹彩萎縮とは、目の虹彩という部分が萎縮してしまう疾患です。
虹彩は目の瞳孔の周りを縁取る放射状の模様の部分です。
虹彩は開いたり閉じたりして目に入る光の量を調整する役割があります。
カメラで例えると絞りのような部分です。
暗い場所では開いて光をより多く取り込み、明るい場所では小さく閉じて光の量を制限します。
暗いところと明るいところで犬の目つきが変わるのは虹彩の働きがあるからです。
この虹彩が萎縮して薄くなってしまうのが虹彩萎縮という疾患です。

犬が虹彩萎縮を発症すると、虹彩の開いたり閉じたりする動きが正常にできなくなります。
その結果目に入ってくる光の量を調整できなくなり、犬が眩しさを感じやすくなります。

虹彩萎縮の原因

犬の虹彩萎縮には

  • 老齢性
  • 二次性

の2つがあります。
犬の虹彩萎縮の最も一般的な原因は加齢です。
虹彩は年齢とともに変性して薄くなります。
シニア犬にみられる虹彩萎縮のほとんどが老齢性の虹彩萎縮といえます。
犬の中でも小型犬は老齢性の虹彩萎縮を発症しやすいといわれていますね。
二次性の虹彩萎縮とは、緑内障や慢性的なぶどう膜炎などの眼疾患が原因となって発症する虹彩萎縮です。
他にも外傷や手術によって虹彩が傷つき、虹彩萎縮が進行することもあります。

犬の虹彩萎縮の症状

車の窓から外を見ているチワワ

犬の虹彩萎縮の症状は

  • 目の色が薄くなる
  • 瞳孔が開いたままになる
  • 明るいところで目を細める
  • 視力が低下する

などです。
虹彩萎縮で虹彩が薄くなるとまず目の色が薄くなります。
虹彩が薄くなるとカメラの絞りのような開いたり閉じたりする動きが正常に行われなくなり、目に入る光の量を調整できません。
その結果明るいところで眩しさを感じやすく、目を細める症状を示すことがあります。

犬が目を細めていると
「もしかして、痛みもあるのかな?」
と心配になる方もいるかもしれません。
しかし虹彩萎縮では眼の炎症を伴っていない限り痛みはないことが多いといわれています。
二次性の虹彩萎縮で緑内障やぶどう膜炎などの併発疾患があれば、痛みを感じる可能性がありますね。
また虹彩萎縮は進行すると視力の低下を引き起こすことがあるともいわれています。

犬の虹彩萎縮の診断

犬の虹彩萎縮の診断方法は

  • スリットランプ検査
  • 眼圧測定
  • 対光反射試験

などです。
スリットランプ検査とは細隙灯という特殊な顕微鏡を使って眼の中を覗く検査です。
虹彩がどの程度萎縮しているかを観察することができます。
眼圧測定とは眼球にどれだけの圧力がかかっているかを測る検査です。
緑内障やぶどう膜炎などの併発疾患の有無を確認します。
対光反射試験は眼に光を当てて虹彩の動きを確認する検査です。
光の調節機能がどのくらい障害されているかを確認します。

犬の虹彩萎縮の治療

今のところ犬の虹彩萎縮の根本的な治療はありません。
二次性の虹彩萎縮で緑内障やぶどう膜炎が併発している場合は、点眼薬を使ってそれらの病気に対する治療を行います。
眼に炎症が起きている場合は抗炎症効果のある点眼薬を使用します。
虹彩萎縮では眩しさを感じやすいため、犬用のサングラスなどを使用するのも良いでしょう。

まとめ

目瞑っているトイプードル

いかがでしたか?
犬の虹彩萎縮はシニア期の小型犬に多くみられる疾患です。
虹彩萎縮では緑内障やぶどう膜炎などの併発疾患がなければ痛みは伴いません。
犬が明るいところで眩しさを強く感じたり、視力が低下することがあります。
虹彩萎縮は治療で完治することはありませんが、症状に対する適切な管理で犬の不快感を軽減してあげることは可能です。
緑内障やぶどう膜炎などの併発疾患があって眼に痛みを伴う場合は、なるべく早く動物病院で受診しましょう。
眼科疾患の検査や治療には特殊な機材を使用することも多く、専門性が求められます。
そのため眼科の疾患は眼科症例が多く集まる動物病院で診察を受けることが適切な治療に辿り着くための近道と言えるでしょう。

当院は眼科診療に力を入れております。
犬の眼の異変に気がついたらぜひ当院にご相談ください。

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