2025/12/14
犬の目の痛みは白内障が原因?その症状や治療法を解説

白内障は、目の「水晶体」と呼ばれる部分が白く濁る病気で、高齢の犬でよくみられる病気です。
「最近、愛犬の目が白く濁って見える」
「歩くと壁にぶつかる」
「目をしばしばさせている」
こんな愛犬の様子に気づいていませんか?
もしかしたらそれは、白内障から目の痛みが起きているサインかもしれません。
この記事では、犬の白内障の特徴や目の痛みが起こる理由、治療法について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の白内障の治療や、痛みが起きた際の対処法について理解を深めましょう。
犬の白内障とは?
犬の白内障とは、レンズの役割を持つ「水晶体」が、何かしらの原因で白く濁る病気です。
本来水晶体は透明で、光を網膜へ通すうえで重要な構造ですが、白濁すると光が通りにくくなり物が見えにくくなります。
白内障の主な原因は、
- 加齢
- 遺伝
- 糖尿病
- 外傷
- 炎症
などが挙げられます。
白内障は特に高齢犬での発生が多いですが、遺伝的な要因により起こる白内障は、比較的若い年齢で発症することが特徴です。
遺伝的に白内障になりやすい犬種も知られていて、
- ミニチュア・シュナウザー
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- トイプードル
- ビーグル
- ボストンテリア
- 柴犬
などが挙げられます。
さらに、白内障は進行の程度で次のように分類されます。
初発白内障
初発白内障は、白濁が水晶体の15%未満の状態で、視覚の低下はほとんどありません。
外見から見ても気づきにくい段階です。
未熟白内障
未熟白内障は、白濁が水晶体の15%以上に広がった状態です。
視覚の低下が見られ始め、物にぶつかる、段差を踏み外すなどの様子が見られることがあります。
成熟白内障
成熟白内障は、白濁が水晶体のほぼ100%に広がった状態です。
ほとんど視覚を失い、日常生活に支障が出る状態です。
過熟白内障
過熟白内障は、成熟白内障がさらに進行し、水晶体のタンパク質が変性し縮小した状態です。
炎症(ぶどう膜炎)や眼圧の上昇(緑内障)などが続発して、視覚を失うだけではなく目の痛みを起こす可能性があります。
白内障で目の痛みが起こる理由とは?

犬の白内障で目の痛みが起きる場合、多くは既に白内障が進行している状態です。
白内障は、初期の段階では痛みはありませんが、水晶体が膨張したり内容物が漏れ出したりすることがきっかけとなり、痛みを起こします。
その際に起きる「ぶどう膜炎」と「緑内障」について詳しく見ていきましょう。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎とは、目の「ぶどう膜」という部分に炎症が起きることを言います。
ぶどう膜は、
- 虹彩
- 毛様体
- 脈絡膜
と呼ばれる目の組織の総称です。
特に、白内障が原因でぶどう膜炎が起きることを「水晶体起因性ぶどう膜炎」と呼びます。
ぶどう膜炎では、炎症により目の痛みや充血、流涙などの症状が見られます。
緑内障
緑内障は、何らかの原因で眼圧が上昇することを指します。
ぶどう膜炎や白内障の影響で眼房水(目の内部を満たす液体)の出口が妨げられ、眼圧が上昇することが原因の一つです。
緑内障が長く続くと網膜や視神経の損傷が起こり、視覚が戻らなくなることもあります。
そのため、愛犬が目の痛みを感じているサインを見逃さないことが重要です。
目の痛みがある時の症状
犬に目の痛みがある時の症状は、以下のようなものが挙げられます。
これらの症状が見られたときは、眼科の検査がしっかり行える動物病院を受診しましょう。
- 目をしばしばする
- 涙や目やにが増える
- 目が赤くなる
- 前足で目をこする
犬の目の痛みの治療法とは?

犬の白内障による目の痛みの治療は、主にいくつかの点眼薬を併用して行います。
よく使用される点眼薬は、
- 抗菌薬
- 抗炎症薬
- 眼圧降下薬
などが挙げられます。
これらの点眼薬で目の痛みが改善しない場合は、白内障を起こしている水晶体を外科的に除去する手術を行う場合があります。
白内障の手術は高度な技術を必要とする外科手術ですので、眼科専用の設備や豊富な経験を持つ動物病院で行いましょう。
まとめ
犬の白内障は、目が白くなるだけでなく、目の痛みや視覚の喪失を伴う病気です。
初期では痛みがなくても、進行すると強い痛みが起こります。
目を気にする様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、白内障を含めた眼科診療に力を入れています。
白内障の治療や愛犬の目の痛みでお困りの際は、いつでもご相談ください。
奈良県生駒市の動物病院
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