2025/06/14
猫にも白内障ってあるの?|猫の白内障について解説
白内障は猫でも発症することがあるということを知っていますか?
白内障は人間でも身近な疾患ですが、猫の白内障については、
- 何が原因として多いのか
- 視力に影響はあるのか
- 猫でも人間のように治療ができるのか
など、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、猫の白内障について解説します。
猫の白内障について詳しく知っておくことで、愛猫の健康管理に役立てましょう。
白内障とは
白内障とは、眼の奥の水晶体というレンズの部分が不透明になる病態を指します。
水晶体は、本来水晶体タンパク質という水溶性で透明の物質でできています。
透明であるはずの水晶体が不透明になってしまうのは、何らかの原因によりタンパク質が変性してしまうためです。
タンパク質の変性は不可逆的です。
一度水晶体が不透明になってしまうと何の治療もせずに透明に戻ることは通常ありません。
白内障になると猫の生活に影響は?
猫の白内障は、痛みや痒みなど眼の感覚に変化が起こることはありません。
しかし、視力に影響が出ることが多いです。
特に両眼とも白内障になってしまった場合は、生活に支障が出ることもあります。
また、白内障を治療せずにいると、ぶどう膜炎という別の眼の病気を続発することがあります。
ぶどう膜炎になると、眼にひどい痛みが出ることがあるので注意が必要です。
白内障の原因とは
犬の白内障の原因は、加齢であることが多いです。
しかし、実は猫の白内障は、原因が加齢であることは少ないです。
猫の白内障の原因は、大きく分けて先天性と後天性に分けられます。
先天性白内障
先天性白内障とは、遺伝により発症する白内障のことです。
遺伝が原因で白内障を発症しやすい猫種には、
- ペルシャ
- ヒマラヤン
- アメリカンショートヘア
などがあります。
先天性白内障の場合は、若齢で発症することが多く、発症すると進行が早いこともあります。
後天性白内障
後天性白内障には、原因として加齢性、糖尿病性、外傷性などがあります。
加齢性白内障
加齢性白内障は年齢により水晶体が変性し、不透明になってしまうものです。
猫ではあまり多くないと言われています。
加齢性の白内障は進行が遅く、重度の視力障害には繋がりにくいと言われています。
糖尿病性白内障
高齢の猫では、糖尿病が原因で白内障を発症することもあります。
糖尿病により、体の中に糖が増え代謝が追いつかなくなると、通常の代謝とは別の酵素であるアルドース還元酵素が糖を代謝するようになります。
この酵素により糖の代謝が起こると、水晶体に蓄積しやすいソルビトールという物質が発生します。
ソルビトールが水晶体に蓄積すると、水晶体内の浸透圧が上昇し水晶体に水分が増え、水晶体タンパク質が変性するというのが糖尿病性白内障の発症メカニズムです。
猫では加齢によりアルドース還元酵素の反応が弱くなると考えられてるため、糖尿病性白内障を発生しにくいと言われています。
外傷性白内障
猫の後天性白内障で最も多いのは、外傷性白内障と言われています。
外傷性白内障は、眼にかゆみがあり強く擦ってしまったり、他の猫との喧嘩などにより眼に傷ができてしまうことで起こります。
この時に傷が眼の表面だけでなく、水晶体の部分まで達してしまうと、外傷性白内障を発症することがあります。
白内障って治療できるの?
猫の白内障の治療は人間と同じで、視力回復を目的とした外科手術が第一選択となります。
通常外科手術は、超音波水晶体乳化吸引術という手術と、眼内レンズ挿入術という手術が行われます。
超音波水晶体乳化吸引術では、白内障化してしまった水晶体を眼の表面から穴を開け、専用の器具を用いて粉砕し除去する手術です。
手術後は、猫用に認可された人工のコンタクトレンズを挿入します。
白内障の手術は、高い技術力と専用の機材が必要となるため、手術を実施できる施設は限られます。
猫の白内障手術を行う上で、非常に重要になるのが術後管理です。
術後は
- レンズが安定するまで運動制限を行う
- しばらくはエリザベスカラーを装着する
- 定期的で頻回の点眼を行う
- 定期的な動物病院での眼科検査を行う
などの管理が必要になることが多く、猫の場合はこれが実施可能かどうかが手術を実施できるかの判断基準のひとつです。
また、手術は全身麻酔で行います。
年齢や疾患によるリスクもありますね。
愛猫の白内障手術を考えているなら、手術を実施することが可能かどうか動物病院でしっかりと相談する必要がありますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は猫の白内障について解説しました。
猫の白内障は、発症することが多くないからこそ、愛猫が発症してしまうと飼い主様は不安になってしまうことが多い疾患です。
当院では、眼科に力を入れております。
愛猫の眼にご不安なことがあれば、ぜひ当院までご相談ください。
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