犬の緑内障の原因はぶどう膜炎?|その治療は逆効果かも

犬の緑内障の原因はぶどう膜炎?|その治療は逆効果かも

青い目の犬

動物病院を受診したときに
「緑内障をぶどう膜炎が原因で発症しています」
「ぶどう膜炎が起きていて、今後緑内障になって視力を失うかもしれません」
という説明を受けることがあります。

そんなときに
「そもそもぶどう膜炎ってなに?」
「ぶどう膜炎を発症するとなぜ緑内障になるの?」
「普通の緑内障と治療方法は違うの?」
といった疑問を持ったことはありませんか?
実際に、緑内障とぶどう膜炎の関係性が理解できていることは治療の成否に大きく関わります。

この記事ではぶどう膜炎が緑内障を引き起こす理由や、それぞれの治療法をわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目の治療にお役立ていただけると幸いです。

犬の緑内障とは?

犬の緑内障は、目の中の眼房水という液体が正しく排出されず、眼圧が上昇することで視神経がダメージを受けて、視覚が失われていく病気です。

  • 充血
  • 眼球突出
  • 目の痛み

などの症状から発見されることが多いですね。

緑内障はほかの病気が原因で起こることがあるというのが大きな特徴です。
その原因にはさまざまなものが挙げられますが、なかでもよく見られるのが「ぶどう膜炎」です。

犬のぶどう膜炎とは?

犬のぶどう膜炎は

  • 虹彩
  • 毛様体
  • 脈絡膜

で構成されるぶどう膜に炎症が起こる病気です。
ぶどう膜炎の症状は緑内障に似ていて、充血や目の痛みが見られることが多いです。

ぶどう膜炎は

  • 免疫異常
  • 感染
  • 白内障
  • 眼内腫瘍

などによって引き起こされ、それぞれの原因に対する治療と炎症を抑える治療を行う必要があります。

一見関係なさそうに見えるぶどう膜炎と緑内障ですが、このぶどう膜炎が原因となって緑内障を引き起こす可能性があります。

ぶどう膜炎が緑内障を引き起こす?

茶色い目の犬

ぶどう膜炎は緑内障を引き起こすことがあります。

ぶどう膜に含まれる虹彩は、緑内障の原因となる眼房水を排出する隅角を構成する要素です。
ぶどう膜炎によって炎症が起こると、この隅角が狭くなってしまいます。
その結果、眼房水がうまく排出されなくなるのが、緑内障を引き起こすメカニズムです。

「単純な緑内障かと思っていたら、実はぶどう膜炎が原因だった…」
こんなことが犬の眼科診療ではよく発生します。
正しく治療をしていくためには詳細な検査が必要ということですね。

ぶどう膜炎に緑内障の治療をしても治らない

犬の緑内障とぶどう膜炎の治療法は、主に点眼薬による治療が中心となります。
しかし、この2つの治療方法はそれぞれまったく異なります。
ぶどう膜炎が原因となっている緑内障の犬に、緑内障の治療だけしていても改善は困難です。
それぞれの治療を並行しながら治療を行うのがベストですね。

ここからはそれぞれの治療方法を解説していきます。

緑内障の治療

緑内障の治療は、上昇した眼圧を下げて視神経へのダメージを防ぐことが目的です。 
眼圧を下げる点眼薬として、

  • β遮断薬
  • 炭酸脱水酵素阻害剤
  • プロスタグランジン製剤

などが使用されます。
軽度の場合は点眼薬による治療が中心となります。
しかし、点眼薬で効果が不十分な場合や、すでに視覚が失われている場合には外科手術を行うこともあります。  

ぶどう膜炎の治療

ぶどう膜炎の治療は、ぶどう膜の炎症を抑えることと原因の除去が治療の中心となります。
点眼薬としては主に、

  • 抗生剤
  • 抗ウイルス薬
  • ステロイド剤

などが使用されます。
免疫異常や感染が原因ではなく、眼内腫瘍や白内障が原因のぶどう膜炎では、点眼薬による治療のほかに外科手術での治療を行う場合もあります。

まとめ

犬の緑内障とぶどう膜炎は、どちらも炎症や眼圧の異常によって視覚を失う可能性がある病気です。 
ぶどう膜炎が原因で緑内障を発症することもあるため、それらは密接に関係しています。  

当院では、犬の緑内障やぶどう膜炎を含む眼科疾患に力を入れています。
愛犬の目に異常を感じたときは、いつでもご相談ください。

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