2025/11/28
犬の角膜潰瘍はドライアイが原因に？治りにくい症状とその治療法とは？
犬の目の「角膜」という部分に傷ができる病気を「角膜潰瘍」と言います。
角膜潰瘍はさまざまな原因で起こりますが、その中でも特に注意したいのが「ドライアイ」だということをご存じでしょうか？
「愛犬が目をしょぼしょぼさせている」
「毎日目やにがたくさん出る」
「目薬をさしてもよくならない」
もしかしたらそれは、ドライアイを併発しているサインかもしれません。
この記事では、犬の角膜潰瘍とドライアイの関係、症状や検査、治療法について詳しく解説します。
最後までお読みいただき、治りにくい角膜潰瘍とドライアイの関係について、理解を深めましょう。
犬の角膜潰瘍とは？
角膜潰瘍とは、犬の角膜（目の表面）が傷ついた状態です。
角膜は非常に薄い組織で、さまざまな刺激でよく傷がつきます。
具体的な原因は、
- 異物
- 外傷
- 細菌感染
- 逆さまつげ
- シャンプー剤
- ドライアイ
などが挙げられます。
角膜潰瘍がよく起きるのは、シーズーやパグ、フレンチブルドッグなど、目が大きく突出した犬種です。
犬の角膜潰瘍はドライアイが原因になる？
犬の角膜潰瘍の原因のひとつが「ドライアイ」です。
ドライアイは涙の分泌量が減り、涙の質が低下することで角膜表面が乾燥する病気です。
涙は角膜を保護し、異物や細菌の侵入を防いだり、角膜の細胞に栄養を届けたりする役割を果たしています。
涙が不足し角膜が傷つきやすくなることが、角膜潰瘍を起こしやすくなるひとつの原因です。
また、栄養が不足し角膜の再生が遅れることで、角膜潰瘍が治りにくくなることもあります。
犬のドライアイとは？
犬のドライアイの正式名称は「乾性角結膜炎（KCS）」といいます。
主な原因は、免疫の異常や遺伝、薬剤の副作用などです。
ドライアイの症状としては、
- 目やにが増える
- 目が充血する
- 目をしょぼしょぼさせる
- 目をこする
などが挙げられます。
ドライアイが起こりやすい犬種は、
- ヨークシャー・テリア
- チワワ
- ボストン・テリア
- シー・ズー
- アメリカン・コッカ―・スパニエル
- ペキニーズ
などが代表的です。
ドライアイは早期に発見できれば、角膜潰瘍の発症を防ぐことができます。
角膜潰瘍は重度になると、炎症や感染を起こし角膜穿孔（角膜に穴があく状態）に進行してしまうこともあります。
そのため、眼科診療の経験が豊富で設備が整った動物病院を受診し、早期に発見することが重要です。
犬のドライアイに行う検査とは？
犬のドライアイは見た目の症状だけでは判断が難しい病気で、診断には涙の量や質を測る検査が必要です。
それぞれの検査を詳しく解説します。
シルマー涙液試験
シルマー涙液試験は涙の分泌量を測定する検査です。
シルマー涙液試験では、専用の濾紙を下まぶたに挟み、1分間でどれだけ涙がしみ込むかを測定します。
涙のしみ込む量が少ない場合は、ドライアイの可能性があります。
涙液層破壊時間（BUT）
涙液層破壊時間は涙の質を調べる検査です。
涙が角膜上でどのくらいの時間安定しているかを測定し、すぐに乾いてしまう場合はドライアイの可能性があります。
フルオレセイン染色検査
フルオレセイン染色は、角膜表面に傷がないかを調べる検査です。
ドライアイが原因で角膜が傷ついているかどうかが分かります。
ドライアイがある犬の角膜潰瘍の治療法とは？
ドライアイを併発する角膜潰瘍の治療は、角膜潰瘍の治療とドライアイの治療を同時に行う必要があるため、一般的な角膜潰瘍の治療よりも長期化することが多いです。
治療法は症状の程度によって異なりますが、次のような方法があります。
点眼薬による治療
一般的な角膜潰瘍の治療に使われる点眼薬としては、
- 抗菌薬
- ヒアルロン酸
- 人工涙液
- 血清点眼
などが挙げられます。
さらに、免疫の異常が原因であるドライアイを併発する場合は、免疫抑制剤（シクロスポリンやタクロリムスなど）の点眼薬を併用する場合があります。
外科手術による治療
角膜潰瘍の治療では、点眼薬での治療に反応が悪いときや潰瘍が深いときに、外科手術による治療を行う場合があります。
「結膜フラップ」や「瞬膜フラップ」と呼ばれる手術法で、角膜表面を一時的に覆い、角膜潰瘍の修復を促すことを目的とする手術です。
その他に、犬用のコンタクトレンズで角膜を保護する方法を使うこともあります。
ドライアイを併発する角膜潰瘍の治療においても、同様の治療が行われる場合があります。
まとめ
犬の角膜潰瘍は、ドライアイが原因で発症することがあり、治りにくく再発しやすい特徴があります。
目やにが多い、目の充血が気になるといった場合は、様子を見ずに早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、犬の角膜潰瘍やドライアイをはじめとする眼科疾患の診察に力を入れています。
角膜潰瘍がなかなか治らない場合や、ドライアイが疑われる際は、いつでもご相談ください。
奈良県生駒市の動物病院
Rootsどうぶつ病院
