犬の角膜穿孔について|眼が見えなくなる?治る?獣医師が解説

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犬の角膜穿孔について|眼が見えなくなる?治る?獣医師が解説

上を見上げるシーズー

角膜穿孔は眼の表面に穴が開いてしまう病気です。
眼に穴が開くと聞くと、
「眼が見えなくなるの?」
「治せる病気なの?」
「一般的な動物病院で治せるものなの?」
と思われる飼い主様も多いのではないでしょうか。

今回は犬の角膜穿孔について解説していきます。

ぜひこの記事を最後までお読みいただき、犬の角膜穿孔について知識を深めていただけたら幸いです。


犬の角膜穿孔とは

角膜は黒目の表面にある透明な膜のことです。
何らかの原因で傷が角膜を貫通し、穴が開いてしまった状態を角膜穿孔と言います。
角膜穿孔は以下の犬種で起こりやすい病気であると言われています。

  • パグ
  • フレンチブルドッグ
  • チワワ
  • シーズー

鼻先が短く眼が大きい犬では、眼の露出範囲が広いため傷がつきやすいということですね。


角膜穿孔の症状

角膜穿孔では以下のような症状が見られます。

  • 眼を開けなくなる
  • 眼を痛がる
  • 涙や目やにが止まらなくなる
  • 白目が充血する
  • 眼の表面が白濁する
  • 眼から水(房水)や組織の一部が出る
  • 眼に張りがなくしぼむ

角膜穿孔が起きると、眼の中の組織が出てしまうだけでなく眼の中に細菌が侵入しやすい状態になります。
眼の中に細菌が侵入すると眼内感染症や失明の可能性があるため注意が必要です。

角膜穿孔では時に緊急手術となることもあり、できるだけ早く受診していただくことが重要です。

角膜穿孔の原因

角膜穿孔の原因は以下のようなものが挙げられます。

  • 外傷
  • ドライアイ
  • 逆さまつげ
  • 感染症

犬の場合には外傷が原因となることが多いと言われています。

外傷の場合には

  • 犬同士の喧嘩で眼を引っ掻かれた
  • 散歩中に木の枝や草で目に傷がついてしまった
  • 何度も繰り返し掻いて傷をつけてしまった

といった原因で来院する犬が多い傾向です。

いずれの原因であっても、角膜に傷を負ってすぐの頃には比較的浅い傷であることも多いものです。
角膜の傷が浅いうちに適切な治療を行うことが重要となります。
愛犬の眼の様子がおかしいと思ったら、すぐに動物病院へかかってください。


角膜穿孔の治療法

伏せの状態のパグ

角膜穿孔の治療は、穿孔の程度と犬の状態(年齢や持病など)に応じて選択します。
治療方法は大きく分けて内科的治療と外科的治療の2つです。

各治療法について詳しく解説します。

内科的治療

内科的治療は穿孔が比較的軽度な場合や手術が難しい犬の場合に実施します。
角膜穿孔の内科的治療は、点眼薬を使用します。
代表的な点眼薬は以下のようなものです。

  • 抗生剤の点眼薬
  • 角膜保護成分を含む点眼薬
  • 血清点眼薬(自分の血液から作成した薬)

点眼によって眼の二次的な感染を予防しながら、角膜の治癒を促進する治療です。
点眼を繰り返し行い、自然治癒を待ちます。
感染予防のために抗生剤の内服薬を併用することもあります。

外科的治療

角膜穿孔の重症度が高い場合や手術が可能な犬の場合には外科的治療を実施します。
代表的な外科的治療は以下のようなものです。

  • 犬用コンタクトレンズの装着
  • 眼瞼(まぶた)縫合術
  • 角膜縫合術
  • 結膜フラップ術
  • 角結膜転移術

各治療について解説します。

コンタクトレンズの装着と眼瞼縫合術

コンタクトレンズの装着や眼瞼縫合術は、コンタクトレンズや縫い合わせた眼瞼で眼を保護します。
眼が外界から保護された状態を作り、自然治癒を待つ治療です。
短時間で実施できるため、犬への手術の負担を軽減できます。
いずれも角膜の白濁が残る可能性があります。

角膜縫合術

角膜縫合術は穿孔部が小さい場合や角膜に感染症がない場合に行うことがあります。
角膜の穴を直接糸で縫い合わせる手術です。

結膜フラップ術と角結膜転移術

結膜フラップ術や角結膜転移術は、結膜や健康な角膜を角膜の穴に縫い付ける手術です。
角膜の穴を血管豊富で健康な膜で覆うことで、穴を塞ぐとともに治癒を促します。
角膜に豊富な血液を供給できるため傷の修復に有利に働きます。
結膜フラップ術や角結膜転移術は他の治療と比べ、角膜の濁りも抑えることが可能です。

適切な治療を早期に行うことで、視力低下も最小限に抑えることが可能です。

まとめ

ぬいぐるみと並ぶチワワ

いかがでしたでしょうか?
角膜穿孔は早急に適切な治療を行わないと失明する可能性もある危険な状態です。
愛犬の眼に異常を感じたら、早めに動物病院にかかってください。

結膜炎や眼の小さな傷であれば、一般的な動物病院でも対応可能です。
角膜穿孔のような重症の病気や眼科手術を必要とする際には、眼科に強い動物病院をおすすめします。

当院でも眼科診療に力を入れております。
愛犬の眼に気になることがある方や眼科手術についてご相談がある方は、お気軽に当院までご連絡ください。

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