犬の成長板骨折について

犬の成長板骨折

     
  1. 犬の成長板骨折とは
  2.  
  3. 成長板骨折の実際の症例

 


犬の成長板骨折とは


骨には成長板というものが存在します。
成長板は成長期に骨を伸ばすために働く軟骨のことですね。
この成長板は成長期にしか存在せず、成長期が終わると骨に置き換わります。
そのため、小型犬では5〜6ヶ月で、大型犬では7〜8ヶ月で成長板は骨に置き換わります。

この成長板は他の骨よりも弱い構造をしているので、弱い力が加わっただけでも骨折してしまうことがあります。
これを「成長板骨折」と呼びます。
成長板骨折には、その骨折の仕方により5つに分類される「Salter-Harrisの分類」というものがあります。



この分類の中でどれに分類されるかによって、どんな治療方法をするのかや治療後の経過が変わってくるのですね。

今回ご紹介するのは、この成長板骨折をしてしまった若齢のワンちゃんです。

 


 

成長板骨折の実際の症例


今回のワンちゃんは6ヶ月齢のチワワで、ドッグランに行った際に他のワンちゃんとのトラブルで左前肢を痛めてしまったとのことで来院されました。
診察してみると左前肢を痛そうに挙げていて、歩行時に左前肢を地面につけるのが困難な状況でした。
レントゲン検査を実施すると成長板の骨折が認められました。



右が正常な前肢で左が骨折している方の前肢です。

冒頭でお話ししたSalter-Harrisの分類と見比べてみましょう。



図の通りですね。
このレントゲンの画像から成長板骨折のⅡ型と診断しました。
成長板骨折は時間経過とともに整復が困難になるため、なるべく早めの治療が必要になります。
治療はワンちゃんに麻酔をかけて手術により骨を正しい位置に整復し、ピンで固定することです。
こちらが手術後のレントゲンの写真です。



ピンを3本入れて固定しています。

手術後の経過は良好で、3ヶ月経った現在、痛みもなく元気に過ごせるようなりました。



また走れるようになってよかったですね!

成長板骨折は成長期のワンちゃんに発生する骨折で、一般的には痛みが強いですが、中には目に見える症状が少ないことがあります。
成長板骨折は、先ほどお伝えしたように、時間が経つにつれて整復が困難になったり、中には骨の成長が止まってしまうこともあります。
成長期のワンちゃんを飼われている方で
「高いところからジャンプしてから歩き方が変…」
「まだ飼いたての子犬の足を踏んでしまった…」
などのお悩みがある方は当院までご相談ください。

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Rootsどうぶつ病院 院長
滝本 功卓