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犬の眼球内メラノーマ|目にできる黒い腫瘍について獣医師が解説

「犬の目に黒いできものがある」
「目を眩しそうにしていて目やにや目の充血がひどい」
愛犬の目のこのような症状は腫瘍が原因かもしれません。
犬の目にできる腫瘍の中で最も発生頻度が高い腫瘍は眼球内メラノーマです。
眼球内メラノーマは、メラニン色素をつくる細胞から発生する腫瘍で、目の中に黒色〜褐色のできものとしてみられることがあります。
愛犬の目に突然黒いできものができたら心配ですよね。
今回は犬の眼球内メラノーマについて症状や治療法を詳しく解説いたします。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の目の異常を早期発見するためにお役立てください。
犬の眼球内メラノーマとは
犬の眼球内メラノーマは、目の中に存在するメラノサイトという色素細胞から発生する腫瘍です。
犬では特に虹彩や毛様体などの前部ぶどう膜という部分から発生する眼球内メラノーマが多くみられます。
虹彩は目に入る光の量を調節する「絞り」のような役割を持つ組織です。
毛様体は目のレンズの厚みを調節してピントを合わせたり、目に必要な水分をつくったりする役割があります。
また、眼球の奥にある脈絡膜にもメラノサイトが存在するため、まれにこの部分から腫瘍が発生することもあります。
犬の眼球内メラノーマは口腔内に発生するメラノーマとは性質が異なり、比較的ゆっくり進行し、転移しないものが多いです。
ただし中には悪性度が高く転移するものもあるため、動物病院での適切な検査が重要です。
犬の眼球内メラノーマの症状
犬の眼球内メラノーマでは
- 目に黒色や褐色のできものがみられる
- 目が充血する
- 目をまぶしそうに細める
- 涙や目やにが増える
- 目が濁る
- 左右で瞳孔の形が異なる
などの症状がみられることがあります。
初期には黒いできもの以外に目立った症状がなく、健康診断などで偶然発見されることも少なくありません。
腫瘍が大きくなると眼球内部の正常な構造を圧迫し
- ぶどう膜炎
- 緑内障
- 眼内出血
- 網膜剥離
などを引き起こすことがあります。
特に緑内障では眼圧が上昇することで強い痛みが生じます。
- 目を開けられない
- 頻繁に目をこする
- 元気や食欲が落ちる
などの症状がみられた場合は早めの受診が必要です。
犬の眼球内メラノーマの検査
眼球内メラノーマが疑われる場合は、まず詳しい眼科検査を行います。
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査
などを行い、腫瘤の位置や大きさ、合併症がないかを確認します。
眼球内部が濁っていて腫瘤を直接確認できない場合には、眼球の超音波検査が有用です。
超音波検査では、外側からは確認できない腫瘤の大きさや眼球内部への広がりを調べることができます。
悪性の眼球内メラノーマが疑われる場合には、胸部X線検査や腹部超音波検査などを行い、転移の有無を評価することが必要です。
ただし、これらの検査だけで腫瘍の良性か悪性かを確実に判断することはできません。
眼球内メラノーマの確定診断には、摘出した眼球の病理組織検査が必要です。
犬の眼球内メラノーマの治療

犬の眼球内メラノーマの治療方法は
- 腫瘍の大きさ
- 増殖速度
- 発生部位
- 視覚の有無
- 緑内障などの合併症の有無
によって異なります。
小さな病変で明らかな増大がなく、眼球に痛みや機能障害がない場合には、定期的な眼科検査を行いながら慎重に経過観察になることもあります。
一方で
- 腫瘍が徐々に大きくなっている
- 緑内障を発症している
- 眼内出血がある
- 眼球に強い痛みがある
- 悪性腫瘍が強く疑われる
といった場合には、眼球摘出術が選択されることが多いです。
愛犬の眼球を摘出することに抵抗や不安を感じる飼い主様も多いですよね。
すでに視覚を失っている痛みの強い眼球では、眼球摘出によって犬が痛みから解放され、生活の質が大きく改善することがあります。
摘出した眼球を病理組織検査に提出することで、腫瘍の種類や悪性度を詳しく調べることも可能です。
犬の眼球内メラノーマにおける眼球摘出術は多くの犬にとって、得られるメリットの方が大きいといえます。
しかし全ての眼球内メラノーマで直ちに眼球摘出が必要になるわけではありません。
眼球を温存できる治療が検討される場合もあるため、獣医師とよく相談したうえで納得できる治療を選択することが大切です。
犬の眼球内メラノーマの予後
犬の眼球内メラノーマはほとんどが良性で、全身への転移を起こさない症例が多いです。
眼球内に腫瘍がとどまっている段階で適切に治療できれば、良好な経過が期待できます。
しかし病理組織検査で悪性度が高いと判断された場合や、腫瘍が眼球の外まで広がっている場合には転移に注意が必要です。
悪性の眼球内メラノーマでは
- リンパ節
- 肺
- 肝臓
などへの転移が報告されています。
眼球摘出後も病理検査の結果に応じて、定期的な身体検査や画像検査などで経過を確認することが重要です。
まとめ

犬の眼球内メラノーマは、虹彩や毛様体などのメラノサイトから発生する眼球内腫瘍です。
初期には目の中に黒色や褐色のできものがみられるだけの場合もあります。
しかし眼球内メラノーマが大きくなると緑内障や眼内出血などを引き起こし、強い痛みや視覚障害につながる可能性があります。
犬の眼球内メラノーマは、腫瘍の大きさや増殖速度、合併症などによって治療方針はさまざまです。
「犬の目に黒いできものができた」
「以前からあった黒い部分が大きくなっている」
「目が充血して痛そうにしている」
このような変化に気付いた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では眼科診療に力を入れており、詳しい眼科検査から目に関する手術まで対応しております。
愛犬の目に気になる変化がありましたら、お気軽にご相談ください。